J55 IMPRESSION
本領発揮、卓越したオフロード性能


現代にマッチしたディーゼルエンジン




 熱狂的な三菱ジープ・ファンほど、「ジープの歴史はゴーナナがなくなった時に終わってるんだ。だからゴーゴーが生産中止になると聞いても、別にね…」と思っているはず。確かに三菱ジープの歴史はガソリン車から始まっているので、そういう見方もできる。しかし、ディーゼル車だって捨てたもんじゃない。このJ55や先代のJ53はパワー、トルクとも申し分なく、変化に富んだ大地と充分に格闘できる能力を秘めているのだ。また、ガソリンジープは全てキャブレター仕様なので、それがアキレス腱となって急勾配に弱い。ところがディーゼルジープは、当然の事ながら噴射ポンプなので、そんな心配は無用なのである。ヒルクライムの途中で、エンジンが止まってしまう事なんてない。

 2.7リッター直噴ターボ(4DR6型)のJ53が、排出ガス規制の関係で2.7リッター過流式インタークーラーターボ(4DR5型)のJ55にモデルチェンジした際、「ゴーサンのほうが力強い」という話をよく耳にした。J53のスペックは94PS/3,500rpm、21.0kgm/2,000rpmで、これに対するJ55は100PS/3,300rpm、22.5kgm/2,000rpmとなる。つまり、J55のほうが上なのに…だ。これは「燃焼室の形状が直噴から過流式に変更された」「排出ガス規制に対応させたエンジン」という情報が事前にインプットされているため、そのように強く感じたのでは…と思う。

 今回、改めてJ55に試乗してみると、確かに極低回転域でのトルクがJ53より細い気がするが、それは注意深く乗ればの話で、今時のクロカン4×4と比較したら有り余るトルクを持っていると言っても過言ではないのだ。

 また、J55のエンジンスペックがJ53よりも上回る事が出来たのは、インタークーラーの装着によるところが大きい。つまり、インタークーラーの恩恵を受けるためには、ある程度、スピードを出さなければならない。言い換えれば。J55は低速域と高速域でのパワーの差が出やすいのだ。だから相対的に見ると、下の力が不足しているように思えてしまうのである。

 いっぽう、中速域から高速域にかけての加速力はガソリンジープ並みで、高速道路を使う機会の多い現代の自動車環境を踏まえて考えると、J55は最後の三菱ジープとして相応しい特性を持っていると言えるのではないだろうか。


生粋のクロカン4×4

 オフロードでの走破性。これに関しては多くを語る必要はなかろう。三菱ジープほど自由にオフロードを走れる4×4は、今となっては国産車では見当たらない。下回りにクラッチのオペレーティングシリンダーが出っ張っているとか、リアのナンバープレートを引っかけやすいというウィークポイントはあるものの、それはユーザーの意志でガードを装着したり、位置を変更することで充分に対応できるレベル。事前に対処しておけば良いのだ。そんなことよりもオフロードで手頃なボディーサイズと、しなやかに動く四肢がもたらすメリットのほうが大きいのである。

さようなら、三菱ジープ

 オフロードを走るために生まれたジープ。本家のジープは社名を変えながらも生き長らえているが、分家のジープは余命いくばくもない。最後の300余台を世に送り出したら終わりである。本当に惜しいと思うが、それも世の流れであろう。

 でも、我々は三菱ジープの事を決して忘れはしない。そして名前こそ変わるであろうが、ジープのアイデンティーを受け継いだ4×4が、きっと近い将来に産声を上げると信じている。そう思わなければ、このやるせない気持ちを、どこにぶつけたらよいのであろうか…。


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